Canon LBP6030をRaspberry Piで使う



はじめに

モノクロの安いプリンターを探していて、EPSONのPX-K150を買おうかどうか迷っていたところ、
CanonのモノクロレーザプリンタLBP6030が目に止まり、意外と安かったので早速購入しました。

LBP6030はUSB接続なので、Raspberry Piをプリンタサーバにすればいいやと思い
Linux用のドライバをダウンロードしようとしたら、まさかのARM非対応でした…

なんとかしてみた

LBP6030はCARPS2のドライバーのようなので、Canonのページを探していたら、
他機種ですがARM 64bitに対応したCARPS2のドライバーが見つかりました

これをインストールしてみて無事動作したので、備忘録を記載します。
ちなみに、プロセッサーが64bitに対応しているのは、Raspberry Pi3, 4, Zero 2なので、
これ以外の機種ではインストールできません。

OSインストール

ちょうど使っていないRaspberry Pi3があったので、新規にRaspberry Pi OSをインストールします。
今回はGUIは不要なので、RASPBERRY PI OS LITE (64-BIT)を選択してSDカードに書き込みます。

64bitを選んだはずが、なぜか32bitカーネルで起動していたので、
/boot/config.txt に arm_64bit=1 を追加して再起動しました。
再起動後は、64bitカーネル(aarch64)で動作しています。

$ uname -a
Linux raspberrypi 5.15.56-v8+ #1575 SMP PREEMPT Fri Jul 22 20:31:26 BST 2022 aarch64 GNU/Linux

ドライバインストール

$ sudo apt-get install cups
$ sudo apt-get install samba

cupsをインストールしましたが、
ドライバインストール時に必要パッケージとして自動的にインストールされるかもしれません。
今回、LBP6030を共有し、自宅のクライアント(Windows/Mac)から印刷したかったので、
Sambaもインストールしています。

ダウンロードした linux-carps2lbp-drv-v500-jp-17.tar.gz を展開して、install.sh でインストールします。

$ tar xvf linux-lipslx-drv-v550-jp-02.tar.gz
$ cd linux-lipslx-drv-v550-jp
$ sudo ./install.sh

GUIなし環境でインストール実行すると、最後にエラーが出ますが無視で問題ありませんでした。

CUPS設定

CUPSのWeb UIを使用するための最低限の設定変更をします。

$ sudo nano /etc/cups/cupsd.conf
# Only listen for connections from the local machine.
#Listen localhost:631    <<<<    コメントアウト
Listen 631    <<<<    追加
Listen /run/cups/cups.sock
-- snip --
<Location />
  Allow from all    <<<<    追加
  Order allow,deny
</Location>

設定変更後はcupsを再起動します。

$ sudo systemctl restart cups

CUPSのWeb UI(http://<raspberrypiのIPアドレス>:631)にアクセスして、プリンタを追加します。
設定途中にユーザ名/パスワードを求められた場合は、
lpadminグループにいるユーザ名/パスワードを入力します。
Pi imagerのデフォルトだとpiかもしれません。ユーザがわからない場合は下記コマンドで調べます。

$ grep lpadmin /etc/group
lpadmin:x:116:pi

「プリンターの追加」からGUIに従って操作していきます。
途中、モデルを選択する必要がありますが、LBP6030は当然表示されません。
CRAPS2なら何を選択しても大丈夫そうですが、モノクロの機種(Canon LBP161/162)を選択してみました。

Samba設定

これも最低限の設定変更をします。

$ sudo nano /etc/samba/smb.conf
[printers]
   comment = All Printers
   browseable = no
   path = /var/spool/samba
   printable = yes
   guest ok = yes
   read only = yes
   create mask = 0700

設定変更後は、smbdを再起動します。

$ sudo systemctl restart smbd

クライアント側設定

ここまで設定できればWindows側でプリンタが見えるはずなので、
Windows側はプリンタを追加するときにLBP6030のドライバ選択すればOKです。

Macはbonjour接続でプリンタが見えるので、同様にLBP6030のドライバをインストールすればOKです。(Windowsもbonjourでも見えるはず)

プリンタ追加時に”Windowsがプリンターに接続できません、アクセスが拒否されました“という
エラーが出る場合は、Raspberry PiでIPv6を無効にすると解決できるかもしれません。
IPv6を無効にするには、/etc/sysctl.conf に、”net.ipv6.conf.all.disable_ipv6 = 1″ ,
“net.ipv6.conf.default.disable_ipv6 = 1″を追加してRaspberry Piを再起動してください。

$ sudo sh -c "echo 'net.ipv6.conf.all.disable_ipv6 = 1
net.ipv6.conf.default.disable_ipv6 = 1' >> /etc/sysctl.conf"
$ tail -n 2 /etc/sysctl.conf
net.ipv6.conf.all.disable_ipv6 = 1
net.ipv6.conf.default.disable_ipv6 = 1
$ sudo reboot

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『Canon LBP6030をRaspberry Piで使う』へのコメント

  1. 名前:mark 投稿日:2023/03/30(木) 15:56:29 ID:f169845f1 返信

    記事の掲載ありがとうございます。
    頂いた情報をもとに環境を構築してみたのですが、印刷ができませんでした。具体的にはキューには入るのですが、印刷がなされずに完了になってしまう状態で、CUPSのWebコンソール経由でもテストページの印刷ができませんでした。またlpコマンドを使用しての印刷もできませんでした。

    大変恐縮なのですが、何かヒントをいただけないでしょうか?

    【実行環境】
    Linux raspberrypi 5.15.84-v8+ #1613 SMP PREEMPT Thu Jan 5 12:03:08 GMT 2023 aarch64 GNU/Linux
    Raspberry pi 4 model b

    • 名前:ry 投稿日:2023/03/31(金) 15:57:25 ID:e4c0f5bb6 返信

      >mark-san
      こんな放置気味のblogにアクセス、また参考にしていただきありがとうございます。
      記事を書いた時点では特殊な設定をせず使用できた記憶があります。Windowsからも共有プリンタとして設定・印刷できていました。

      大変申し訳無いですが、現在は環境を崩してしまったため、設定を確認することができません。
      CARPS2のドライバが更新されているようですので、こちらをインストールしてみてはいかがでしょうか。
      https://canon.jp/support/software/os/select/ir/linux-lipslx-drv-v570-jp-00tar
      install.sh を見ると上書きなので旧ドライバのアンインストールは不要に見えますが、
      dpkg -P cnrdrvcups-lipslx でアンインストール可能かと思います。(削除するパッケージ名は↑のファイルから想定しているので、dpkg -l で確認してください)